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RSPACE開発者の声

小野 倫也(大阪大学 大学院工学研究科)、Marcus Heide(大阪大学 大学院工学研究科)、塚本茂(ユーリヒ総合研究機構)、江上喜幸(北海道大学 大学院工学研究科)

アプリの歴史

大阪大学工学部精密科学専攻広瀬研究室で、加工、成膜など表面反応を原子・電子レベルで解析するためのツールとして開発が開始されました。超並列計算機での使用を目指し、実空間差分法に基づく計算手法を用いています。実空間差分法は原子構造の最適化に難がありましたが、1999年に開発者のグループで開発したTimesaving Double Grid法により、この問題を克服しました。また、2003年よりナノ構造の電気伝導特性を計算するOverbridging-Boundary Matching法を独自に開発し、原子鎖、分子鎖、カーボンナノチューブ、MOS構造などの電気伝導特性を可能にしました。さらに、遷移金属などを高精度に扱えるように、PAW擬ポテンシャルを2009年に実装しました。

アプリの魅力

固体の電子状態計算には、これまで主に平面波展開法が用いられてきました。これに対しRSPACEは、実空間差分法に基づいた計算手法を用いています。実空間差分法は、高速フーリエ変換を用いないことと周期的でない境界条件を持つモデルに対しても適用可能であることが魅力です。前者の利点は超並列計算機での優れた並列化パフォーマンス、後者の利点は電極間に挟まれたナノ構造の電気伝導特性計算を可能にします。また、グリッド幅を狭くすることにより計算精度が向上するので、基底関数の完全性に関する問題もありません。さらに、RSPACEは、擬ポテンシャル法の中でも最も計算コストと計算精度に優れているPAW擬ポテンシャルを用いています。

アプリの将来性・応用可能性

RSPACEのアルゴリズムは、これからの計算機の進化のトレンドである超並列に適しおり、大規模電子状態計算を実現することができます。また、電気伝導特性計算も可能であるので、アトミスティックなモデルを用いた半導体デバイス、分子デバイスなど電子デバイスの機能予測シミュレーションに応用できます。さらに、RSPACEは、スピン軌道相互作用やノンコリニア磁性を取り扱う機能を実装しており、スピントロニクスデバイスなどのシミュレーションも実現できます。

開発者の夢

第一原理に基づく計算機シミュレーションを駆使して、新たな動作原理を利用した次世代電子デバイスのデザインに挑戦します。また、密度汎関数理論の局所密度近似の限界により取り扱いが困難な材料でも扱えるように、電子間相互作用を高精度に計算できる方法の開発とコードへの組み込みにも取り組みます。

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